
夏と飲み物と私
前編
Case1. 夏こそ気軽に、脚付きグラス。
--ヨリフネ
Case2 . 夏を乗り切るお守りのための器。
--奥平明子(ガラス作家)
Case3 . ノンアルを美味しく飲むための、ジンジャーシロップ。
--ヨリフネ / 三輪周太郎(金工作家)
Case4 . 連想ゲームのその先に。
--塚崎愛(陶芸家)
後編
Case5 . 夏を飲み込む、季節のジャムのソーダ割。
--津村里佳 (ガラス作家)
Case6 . スープだって飲み物。
--小林耶摩人(陶芸家)
Case7 . 体の熱を冷ましてくれる、"夏の"ジンジャーシロップ。
--ties / 遠藤千恵(料理家)
Case8 . 丸ごと冷やしてキュッと飲みたい、シロボトル&グラス。
--津村里佳(ガラス作家)
Case9 . ビールのお供、からあげの器。
--小林耶摩人(陶芸家)


Case5 . 津村里佳
ガラス作家・津村里佳さんにとって、もはや生活の一部と言っていいジャム作り。
家には常時自作のジャムが何種類かストックしてあり、旬の果物を使うジャム作りは、季節を感じるきっかけにもなっています。
「家の庭には金柑の木があって、毎年鳥に取られてしまわないかソワソワしながら色付くのを待ちます。春の終わりの小粒の苺で作るのも大好き。その時期にスーパーなどで見かけるとワクワク、またこの季節がきたなって果物から感じます。季節は待ってくれないから、時には寝る間を惜しんで作る時もあって、何してるんだろうって思いますが(笑)自分にとっては大事な時間なんです。」
そんな津村さんにお願いし、2月に金柑でジャムを作るところを見せてもらいました。
丁寧に下拵えをし、銅鍋でコトコト煮込む手慣れた姿。
迷いのない動きに、ジャム作りが津村さんの日常になっていることが伝わってきます。
「パンにヨーグルトにと生活に欠かせない存在ですが、夏になると炭酸水で割って飲む、が加わります。スプーンでジャムをすくって、そのまま同じスプーンで混ぜることを考えると、混ぜやすいように底を広くしたいなと思いました。 果物によっては砂糖をまぶして冷凍しておく時もあって、暑い時に牛乳と一緒にミキサーにかけて食べるのが至福。それは「食べる飲み物」といった感じで、そこからもヒントを得て、口が広くて、背が低いようなグラスがあっても良いかも…と考えました。」
季節によって変わる果物の色が綺麗に見えるよう白をポイントに入れています。
「中に色が入ったとき、白との対比で色がはっきり、美しく見えるんです。歪な丸をポイントで入れたデザインは最近始めたお気に入りです。」
出来上がったグラスは、ジャムを中心に考えたとっても津村さんらしいアイテム。味覚からも視覚からもジャムを楽しめるグラスになりました。
ジャムを楽しむということは、同時に季節のめぐりを楽しむことでもある。
そんな過ごし方を教えてくれる津村さんの作るガラスなのでした。

Case6. 小林耶摩人
ある日、陶芸家の小林耶摩人さんと雑談をする中で彼がトムヤムクンと唐揚げが好きで、それだけはしょっちゅう作るという話になった。ちなみに料理が好きなわけではないとのこと。
だのに、なぜ数少ないレパートリーの中にニッチなトムヤムクンと揚げ物がランクインするのか。思いがけず知った作家の偏愛にワクワクする私。
一方本人は、肉に下味揉み込んで、揚げるだけですよ?(いやそれがめんどくさい)トムヤムクンも、ペースト使いますし…とキョトンとしている。
でも後から深掘りすると、トムヤムクンは小林さんの中で”味噌汁”の立ち位置で、本当にすごいペースで作るらしい。今度、偏愛展にトムヤムクンの器と唐揚げの器作ってくださいね。そんな冗談を言って、その話は終わった。
…はずだった。
今回夏の飲み物、というテーマになった時、小林さんのことを思い出した。エスニックは夏がよく似合う。
そうだ、スープも飲み物じゃん!
これはあの時の話を実現させるチャンスと、半ば無茶振りにも近い依頼をし、出来上がった頃にさらに撮影と称してトムヤムクンをご馳走になってきた。
実は前々から、小林さんの灰長石の器に東南アジアの伝統的な器のような印象を感じ、エスニックも似合うとふんでいた。出来上がったトムヤムクンを器によそい、パクチーを添えると、それがバッチリ証明されたかのような最高の仕上がり。縁に口をつけてスープを飲むときもスムーズで飲みやすい。
ある作り手が『酒を呑まない人が作る酒器は信用しない』と話していたけど、やっぱり好きなものだから、使い勝手や盛り付けのバランスなど細かいポイントが分かっているように思える。 これは紛れもなく、トムヤムクンのための器だ!
ちなみに小林さんがトムヤムクンを好きになったのはトムヤムヌードルがきっかけ。なので、麺にも合う仕様になっています。
是非、トムヤムクンが大好きだ、という方に手に取っていただきたいこの器。一緒に海老の殻を入れる小皿まで送ってくれた。やっぱり、分かってるなぁ。
トムヤムクンの器は完売いたしました
ココナッツミルクを使わない

Case7 . ties / 遠藤千恵
tiesには「夏の」と「冬の」2種類のジンジャーシロップがあるの、知ってた?
ヨリフネにとっての夏の飲み物・ジンジャーシロップをお店で販売したいと、料理家のties・遠藤千恵さんを訪ねたら、なんとも興味深い答えが返ってきた。 千恵さん曰く、調理法によってショウガの持つ成分が変わるんだそう。
生のままだとショウガに含まれるシンゲオールという成分が毛細血管を拡張し発汗、身体の熱を冷ましてくれる。そのため、夏に作りたい場合はスライスした生の生姜を蜂蜜や砂糖に漬け込む。これが夏のジンジャーシロップ。
反対に、体を内部から温めたい季節にはコトコトと火にかけてエキスを抽出。こうすると、シンゲオールがショウガオールという成分に変わり消化器官を刺激し、血流をよくしてくれる。お湯で割って飲めば内側からポカポカに。冬は断然こちらがおすすめ。
知らずに今まで真夏に、せっせと冬のジンジャーシロップを仕込んでいた私…とはいえ夏は、クーラーに冷たい飲み物、アイスなどで自覚なく身体を冷やしてしまっていることもあるので内部を温めるのも良いかもしれません。
千恵さんの作る料理は体が喜ぶ、となんとなく思っていたけど、ちゃんとこうして口に入れるものがどう体に作用するか考えながら作られているからなんだな。
今回は甜菜糖を使った「夏の」ジンジャーシロップをお送りしてくださいます。生活や体質によって使い分け、身体の中から快適な夏をお過ごしください。 その他、奥平明子さんのお話の梅から「スパイス梅シロップ」、津村里佳さんのお話にジャムのソーダ割が出てきたことより割りやすいように緩めに作った「プラムと桃のジャム」をご用意くださいました。 それぞれの「夏の飲み物」をお楽しみください。
sold out

Case8 . 津村里佳
「夏の飲み物」で思いついた飲み物のうちのひとつが、白のサングリア。
適当な果物をカットして、カルヴァドスで半〜1日ほどマリネしたのち白ワインを注いだら、まる1日しっかり冷やして出来上がり。甘味が欲しい時はマリネするときに砂糖を加えると、一気に飲みやすくなります(飲み過ぎ注意)。暑さが増す度どうしても飲みたくなってしまう、私にとっての「夏の飲み物」です。
ここにプラスし、昨年からハーブティーをよく飲む様になったため、こちらも夏は冷やして常備しておきたいなと思いました。
そこから出来たのが、冷蔵庫のサイドポケットに入るサイズのボトル。キンと冷えたサングリアもハーブティーも、ガブガブ飲みたい訳ではなく、きゅっと一口二口飲みたい。 そうなるとグラスも小さくて良いし、なんなら冷えたものがいい。というところから、一緒に被せて冷蔵庫に入れておけるグラスもあったら最高!と思い、ボトルに合わせて小さなグラスも作りました。
新しい印象がいいかな…と全体に色を入れたり、クリアだけにしたりと色々試した中で、やっぱりいいなと思うのは定番のシロシリーズ。新しい形とはいえ既視感があるかなぁとは思いつつも、中身を入れた時の色のグラデーションは何度見ても美しく「やっぱりこれだ」と思います。
ボトルの形は2種類です。
①そのまま注げるボトル型。
蓋になっているタイプと、グラスを重ねられるタイプがあります。
②肩が張ったデザイン 口径が広く、シロップ用のレードル、カンロが入る大きさに。
内容量は大体400から600mlくらいで様々なサイズを作りました。ぜひそれぞれの「夏の飲み物」に合わせてお選びください。

Case9 . 小林耶摩人
陶芸家・小林耶摩人さんの、トムヤムクンに続くもうひとつの好物がからあげ。
「親にも「小さい頃からからあげ好きだったよね」って言われます」というほど、ずっと好きなメニューなんだそう。
今回夏といえばビール、ビールにあうメニューといえばからあげ、ということでから揚げの器を作っていただいた。 料理が好きでないと言う一人暮らしの男性が、わざわざ自炊に揚げ物をチョイス。珍しくないか?と思って理由を聞いても彼にとっては当たり前すぎて答えは出ない。
しつこく聞いていく中でわかったのは、彼が住む笠間では外食の選択肢が多くないこと。また車社会でよほどのことでないと外に飲みにいくことがない。自然と家で自炊することが多くなった中で、好物を食べるには自分で作るか、となったよう。(できたものを買えば良いのではという疑問はここでは置いておく。揚げたておいしいしね)
そこで、トムヤムクン同様からあげを作るところも見せていただいた。 いちばんはじめの感想は
「騙された…!!」
「下味をつけてあげるだけ」「料理好きというわけではない」と言っていたにも関わらず、醤油の代わりにナンプラーを取り出し、魚粉を下味に加えていく小林さん。私の知っているレシピではなく、この時点でこだわりが満載。取材させてもらってよかった、きっとこの時間がなければ分らなかった。
そんなこだわりの小林流からあげは、冷めてもサクサクで非常に美味しい。何よりこの一連の工程を見せていただいたことで、どれだけからあげを美味しく食べるかという熱量の高さを感じられたのがよかった。ーーこの人が作るからあげの器は、信頼できる。
さて、作っていただいたからあげの器は、「夏らしいと思っている」という灰長石の釉薬に、からあげをこんもり盛り付けたいと、真ん中を緩やかにへこませた皿と鉢の間の様なデザイン。揚げものの油を中和するかのような爽やかな印象で、いくらでもパクパク食べれてしまいそう。灰長石は油が染みにくいのもポイントです。
今回はここに、ビールのためのグラスも一緒に作ってくれました。タンブラーという印象のまさにビールなフォルム。小粋な小料理屋さんで出てきそうな感じがさらに食欲をそそります。 からあげを愛する人の、からあげのための器。ビール片手に、是非偏愛の同志が手に取ってくれることを願っています。




魚粉とナンプラーが隠し味
小林さんのからあげレシピ
Case1. 夏こそ気軽に、脚付きグラス。
--ヨリフネ
Case2 . 夏を乗り切るお守りのための器。
--奥平明子(ガラス作家)
Case3 . ノンアルを美味しく飲むための、ジンジャーシロップ。
--ヨリフネ / 三輪周太郎(金工作家)
Case4 . 連想ゲームのその先に。
--塚崎愛(陶芸家)



